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奈良・唐招堤寺から数百年前のボルト、ナットが発見される

約百年前製造のボルト・ナット、材料分析調査結果発表される

  本紙2007年1月7日付け発行等(2027・2030・2031号)で概報の唐招提寺金堂の明治修復時、及び京都・同志社大学クラーク記念館建設時に使用され、約百年前製造のボルト・ナット等における材料分析調査結果が纏まった。両所のボルト・ナットは輸入錬鉄鋼材の使用が明らかとなり、ボルトの製造方法については様々な憶測がなされていたが、頭部は異なるパーツとパーツとの鍛接加工で成型していることがメタルフロー検査によって解明された。

  この調査は、唐招提寺および同志社大学から発見したボルト・ナット、座金、金輪、金物止釘等と24品種の貴重な文化物をサンプルに、明治当時の金属部材におけるモノづくり技術や製品化までの探求等を目的として、世界有数の鉄鋼メーカーである新日本製鐵(株)の協力のもとに進められてきた。

  各サンプルは、外観・断面組織(メタルフロー)観察、非金属介在物の鉱物相(EPMA元素分析)、地金の成分分析、地金の硬さ測定など多項目にわたる検査を実施。その調査結果が纏まり、昨年6月21日に新日本製鐵(株)本社会議室で依頼者側の奈良県・京都府両教育委員会、唐招提寺や同社棒線事業部スタッフ等の立会いの下、分析調査報告会がおこなわれた。

  本号では、奈良県教育委員会・山田氏が報告会並び新日本製鐵の報告資料「唐招提寺・同志社クラーク記念館金属部材の調査概要」をもとに纏めた見解内容の一部を紹介する。

  【唐招提寺】

  (1)ボルトの頭部は、丸鋼に別材の鉄を巻きつけて鍛接成型しているが、その溶着は部分的に隙間があり完全に着いていない物もあった。(2)ナットは、板材または角材の鉄を輪状に丸めて、溶着成型している。(3)座金は、薄板を何層にも重ねて鍛接成型し厚みを出している。(4)ボルト・ナットのねじ切りは、鍛流線の観察から転造ではなく、切削加工である。(5)ボルトの頭部、ボルトの丸鋼部分、ナット、座金は、成分的に見てすべて同じ鉄であると判断できる。その成分的特徴は、P(リン)を多く含み、海外から輸入された錬鉄と判断してよい。(6)金輪金物には、明治修理時に輸入材の板鋼を使用して製作したと思われる物が存在。その分析では、Mn(マンガン)が多く含まれる輸入の錬鉄(溶鋼)であることが判明した。(7)釘類は、すべて砂鉄を用いた国産である。

  【同志社大学】

  ボルトの製作方法は唐招提寺と同じであるが、ボルトの頭と棒鋼部分の鉄は同じ物ではない。また頭の巻きつけている鉄と棒鋼部分の接着面は、唐招提寺の物と比べてしっかりと溶着されていた。(2)ボルトの棒鋼にはドイツとの刻印があり、成分的にはMn(マンガン)が多く、頭部についてはP(リン)の多い錬鉄であった。ナットは、ボルト頭部と同じP(リン)の多い錬鉄である。(3)座金の製作方法は、唐招提寺と同じ薄板を重ねて厚みを出している。成分的にはP(リン)の多い錬鉄である。



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